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米川 祥子 先生

金城大学短期大学部 幼児教育学科講師
金沢大学大学院学校教育専攻(教育心理)修了。平成12年臨床心理士資格取得。富山県スクールカウンセラー、高岡市幼児相談員、心療内科カウンセラーを経験し、平成15年より現職。現在、大学の学生相談や県・白山市の教育相談も担当している。専門分野:カウンセリング・発達心理学。担当授業:発達心理学・心理学。

大人の心配が伝わると
子どもの不安は増すことに

この春、お子さんが保育園や幼稚園に入園されたという保護者の方も多いのではないでしょうか。初めての体験は親子共ども緊張しますよね。慣れるまでの時間は個人差がありますが、少なくとも1カ月くらいは落ち着かない日々が続くかもしれませんね。

さて、ご質問のお子さんについてですが、生まれつきの性格もあるでしょうし、心配症の人に囲まれた環境で育っていると、子どもも心配症になることがあります。原因はわかりませんが、実際にこのお子さんは"不安"を抱えている状態にあるようです。

さて、この"不安"についてですが、原因ははっきりしないのだけど何となく…というものを"不安"といいます。ですから、お子さんに 「何が不安なの?」 と尋ねても、本人自身がわかっていません。さらに、「どうしたんだろう…」 と大人がオロオロして心配していると、その思いが子どもに伝わってしまい、子どもも何となく不安を増していくことになります。

夜泣きは日中の不安の現れ
子どもが安心できる環境を

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大人ができるこの子への援助は、"安心させてあげること"です。日中遊んでいるときも子どもから 「ママと一緒に」 と言われたら、その要求にはできるだけ応えてあげればいいと思います。一緒にいるお母さん自身がゆったり安心感を抱いていることがポイントです。「いいよ、いいよ。納得するまでくっついていなさいね~」「初めての集団生活で疲れているのね。イライラしてもしかたないよね~。ま、家で発散させなさ~い」 とド~ンと大人が構えると、子どもは安心してストレスを発散できます。そうして、子どもが心から安心・納得・満足すると、何となくの不安は消えていくでしょう。

夜泣きは、日中の不安を発散させる作用があります。夢で発散させることによって、昼間とのバランスを保つのです。日中起きているときに安心し、不安がなくなると夜泣きもしなくなるでしょう。

先生のまとめ

初めての入園は親も子も緊張します。
大人はゆったりした気持ちで受け止め子どもが安心してストレスを発散できる環境を作ってあげるといいでしょう。

集団生活は子どもが
人間関係を学ぶ大切な機会

我が子が新しい環境に入っていくとき、親は 「うまくやっていけるだろうか」 ととても心配になります。初めての子どもならなおさらです。私は引っ越しで上の子を2回転園させましたが、新たな保育園に入る前には、「お友達とうまく遊べるかな」、「嫌がらないで通ってくれるかな」と心配しました。加えて園の先生に「親としてどう評価されるか」 が気になりましたね。「おむつがとれていないのは親がちゃんとしていないから」 とか、挨拶や返事ができなかったら 「しつけができていない」 と思われないかなど。園に子どもを預けるとき、自分が"親としての評価"を受けるような気になってしまう方、多いのではないでしょうか。

初めての入園は
親も子も不安なもの

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人間は他者と関係を作る能力を身に付けなければ、上手く生きていけないので、子どもが家族以外の集団の中に入っていく経験はとても大切です。集団の中で、他者と気持ちが合ってうれしくなったり、ぶつかって嫌な思いをしたりして、人間関係を学んでいきます。

お子さんは一人っ子とのこと。幼稚園は、家庭にはない人間関係のゴチャゴチャを体験できる貴重な場になることでしょう。しかし、初めての経験ですから、最初は、登園を嫌がったり、昼間のストレスで帰宅後イライラしたりすることが多くなるかもしれません。そんなとき、親がオロオロすると子どもはますます不安になるので 「そうかそうか疲れたね。よう頑張ったよ」 とドーンと受け止めてあげられると良いと思います。家で安心できると、子どもは外に向かう勇気がわいてきます。

産まれて3~4年の子どもが園でキチンとできなくて当たり前、キチンとしている方がコワイです。「わがままで、落ち着きがない」 は視点を変えれば 「自分の意思を持っていて行動力がある」 という長所にも。親は、我が子の欠点に注目しがちですが、園の先生の捉え方は違うかもしれません。入園を親子が評価される機会ではなく、先生という子育ての仲間が増える機会と捉えてみませんか。

先生のまとめ

欠点は見方を変えれば長所。
園生活は人間関係を学ぶ大切な機会であり、幅広い見方をしてもらえるチャンスと捉えて。
子どもの不安もドーンと受け止めましょう。

幼児期はゲームよりも
人と直接関わってほしい

ゲームをすることによる脳への影響についての研究は、賛否両論あり、実証性はまだ低いようです。ですから、「発達的に良い・悪い」というお答えはできません。今回は、私の個人的考えの強いものになりますので、ご了承ください。

私の上の娘も、小学校に上がるころゲームを欲しがりました。同級生では、年中組ぐらいで持ち出す子もいて、「みんな持ってるから、買って~!」と常とう句を言って。ねだられると買ってやった方が楽なのですが、私はその時買い与えませんでした。理由は4点です。1. 幼児期(1~6歳ころ) は認知の発達段階として、現実(ノン・バーチャル)と非現実(バーチャル)の区別がつかない。例えば、自分は将来ウルトラマンになれると思っているなど。その段階でゲーム (非現実世界) に没頭すると、現実と混乱してしまうのではないか。 2. 幼児期から児童期(1~10歳ころ)は、人との関わり合いの中から"人間関係"を学ぶ時期。直接人と関わることが大事な時期にゲームに興味を奪われ、相手の顔を見るよりもゲーム、お友達との会話もゲームのこと中心なんてもったいない! 3. 幼児期は人生のなかで最も創造性の高い時期。子どもらしい創造性の世界で遊んでほしい。 4. 幼児期は欲求の自己コントロールが難しい段階。そんな子どもに「1日30分だけね」などのルールを守らせることは難題である。コントロールができるようになる10歳過ぎまで持たせないでおこう。

自己コントロールができる
10歳を過ぎてからでも

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これらの理由を娘には、「小さいころからゲームしてたら、頭が痛くなっちゃうかもよ。だからおネエちゃんになったらね」 とか、「今はゲームよりもお友達と遊んでほしいな」とか…、伝えるのに苦慮しました。娘からは「10歳になったら考えてくれるんだよね!」 と念押しし続けられ、10歳の誕生日に、もう大丈夫かなと思えたので買い与えました。最初こそ感激していましたが、3カ月もすると「多々あるおもちゃの一つ」 になり、そこら辺に放りっぱなしになっています。

先生のまとめ

幼児期は"人"を学ぶ大事な時期。
嗜好性の高いゲームを与えて人と関わる経験が少なくなることはもったいないと思います。

"しつけ"の前段階が大切
しっかり目を合わせて

幼児期は自己中心的思考段階なので、自分の興味や思いが先に立ってしまいがち。でも、人間は社会のルールを守って生活していく生き物ですから、しつけや教育が必要になります。この"しつけ"は、「~したらダメよ」と厳しく叱ることではないのです。

大切な"しつけの前段階"。この"しつけの前段階"は産まれた直後から始まっています。お腹から出てきてすぐに、赤ちゃんは人の目を見つめてきます。人間の子どもは人間の顔が大好き。赤ちゃんに見つめられると、目が離せなくなってしまいますよね。少し大きくなると、初めて出会ったことに対して「どうしたらいいのかな」というように、大好きな人を振り返って、目を合わせようとしてきます。こうしたときに、目を合わせてあげることが大切なのです。

安心感や信頼感を得れば
ルールを守れる子に

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子どもは、「ちゃんと見守ってくれている」という安心感や信頼感を得て、人の表情から「大丈夫なこと」「やってはダメなこと」を学びます。この過程は、乳幼児精神医学者のエムディという人が「ソーシャル・レファレンシング」と名付けています。大きな声で「やっちゃダメよ!」と注意されなくても、人の表情を見て、事の善し悪しを判断できる子になるのです。こうした行為を積み重ねて、その子の心の中に「良心」や「道徳心」が備わっていきます。ルールを守らなくても平気な人は、幼いときに、こうした目線や表情のやりとりが不十分だったのかもしれません。

3~4歳になっても同じです。子どもがふとしたときにママの顔を見る―その瞬間を大切にしてください。できる限り目を合わせてあげましょう。不安なとき、うれしいとき、認めてほしいとき…子どもは大好きな人を見つめてきます。その人の微笑む表情や険しい表情から状況を判断し、理解できるようになるのです。

ただし、目を合わせると叱られることが多い場合、子どもはあなたの目を見なくなるので、ご注意を!

先生のまとめ

子どもが振り返ったときに、目を合わせて見守ってあげることが大切。
表情のやりとりを積み重ねて、『良心』 や 『道徳心』 が備わります。

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激しくぶつかり合っても根に持たないのが特徴

幼児〜学童期 (1〜10歳) にかけては、他人とのぶつかり合いから人間関係の作り方を学んでいく時期。特に幼児期は自己中心性に支配され、ぶつかり合いも激しくなります。平気でキツイ言葉をぶつけたり、手を出し合ったり…。ところが、次の日には何事もなかったかのように仲良く遊んでいることも。これも 「根に持たない」 という幼児期の特徴です。この段階でぶつかり合いを体験することが、その後の人間関係能力を発達させるために大切なのです。

ライオンは赤ちゃんのときにふざけて噛みつき合い、嚙む加減を学習するといいます。人間も幼いときに他人とぶつかり合うことで、痛みや加減、相手の気持ちを理解していきます。そして、青年期 ( 11〜25歳)になると 「根に持つ」 という段階に入ってしまい、本音のぶつかり合いが怖くなります。幼児期のぶつかり合いを体験していない人は、本音での付き合い方がわからず、青年期以降の人間関係が苦手になるのです。

ケンカできる環境は貴重
時には口を挟まず見守って

幼児期のぶつかり合いが大切だとわかっていても、保育現場や親子が集まる場では、「子どもにケガをさせられない」 となってしまいがち。でも、ホントはこの時期は軽くケガするくらいケンカをしておけばいいんです。私の子どもも保育園で他の子とぶつかり、先生から 「お友達とおもちゃの取り合いでホッぺに少しキズがつきました。ごめんなさい!」と言われたことがありますが、一人っ子だった娘にとっては貴重な体験なので、変な話ですが 「ありがたい!」 と思ってしまいました。自宅では体験できませんからね。質問者のご家庭のように、ケンカができる環境はとても貴重です。

ただし、大人が介入するとややこしくなることがあるのでご注意を。知り合いのママは兄弟ゲンカのときは口を挟まず、「イヤやったねぇ」などと、泣いて訴えてきた子どもの〝受け入れ役〞に徹するそうです。それでいいのではないでしょうか。

先生のまとめ

兄弟姉妹で気兼ねなくケンカを体験させられる環境はとても貴重。その後の人間関係を養う能力を身に付けることにつながります。時には仲裁などせずに、見守ってみてはどうでしょうか

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すや たずこ 先生

すや たずこ 先生

金沢福祉専門学校特別講師 金城大学非常勤講師 資質向上総合講座「母音(もね)の会」主宰
保育園に30年勤務し、その間20年間園長を勤める。現在は金沢福祉専門学校、金城大学で後進の指導の傍ら、ママと子どものために奮闘中。

米川 祥子 先生

米川 祥子 先生

金城大学短期大学部 幼児教育学科講師
金沢大学大学院学校教育専攻(教育心理)修了。平成12年臨床心理士資格取得。富山県スクールカウンセラー、高岡市幼児相談員、心療内科カウンセラーを経験し、平成15年より現職。現在、大学の学生相談や県・白山市の教育相談も担当している。専門分野:カウンセリング・発達心理学。担当授業:発達心理学・心理学。

堀川 勲 先生

堀川 勲 先生

ほりかわクリニック 院長
富山医科薬科大学、金沢大学医学部大学院卒業、氷見市民病院耳鼻咽喉科医長、金沢大学医学部耳鼻咽喉科助手を経て2002年から現職。

嶋 浩人 先生

嶋 浩人 先生

しま矯正歯科 院長
新潟大学歯学部卒業、金沢医科大矯正歯科学教室を経て、2004年から現職。矯正歯科専門医。

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